食品の安全性確保に欠かせないHACCP(ハサップ)について、本記事では基本的な概念や必要性、導入状況、そして無視した場合の罰則について解説します。また、当メディアが注目している、HACCPの基礎になる衛生管理の検査等を行っているおすすめの登録衛生検査所をご紹介。HACCPは食品衛生管理の基盤となる手法であり、その導入は食品業界における重要な取り組みです。HACCPに関する基礎知識を深めるための手助けとしてご活用ください。目次HACCPとは?引用元:photoACHACCP(ハサップ)は、アメリカのアポロ計画の中で宇宙食の安全性を確保するために発案された衛生管理手法です。その後、食品業界に広まり、国際的な衛生管理手法となりました。HACCPは、危害要因分析(Hazard Analysis)と重要管理点(Critical Control Point)の2つの要素から構成されます。工程ごとに生物的・科学的・物理的な危害要因を分析し、それに対する管理対策を講じます。これにより、食品事業者は製品の安全を守るために科学的な衛生管理を行っていると認められ、消費者の衛生環境の向上に貢献します。万が一、食品事故が発生した場合でも、原因を迅速に究明し対応することが可能です。HACCPは、多くの人々の食卓へ安心を運ぶ大切なメソッドです。HACCPの義務化による飲食店の対応について詳しく解説している記事もあるので、こちらも併せてご覧ください。HACCP義務化による飲食店の対応は?求められる対応からQ&Aまで解説HACCPの必要性引用元:photoAC近年、食中毒事件の発生は横ばいの状況にあり、食品の安全性に対する関心が高まっています。このような背景から、食品業界ではHACCPの導入がますます必要とされています。なぜなら、消費者からの安全性への要求が高まり、食品事業者はより厳格な衛生管理を行う必要があるからです。また、食品事業者がHACCPを導入することで、製品の品質と安全性を向上させ、顧客満足度を高めることが期待できます。さらに、HACCPの導入は事業者にとって法的要件でもあり、規制当局や消費者からの信頼を築くための重要な手段です。結論として、HACCPは食品業界において不可欠な衛生管理システムと言えます。消費者に安心・安全な商品を提供し、自社の発展に貢献するためにも、HACCPの導入を検討しましょう。HACCPの導入状況引用元:photoAC農林水産省発表の、令和3年度食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況実態調査結果によれば、食品製造業におけるHACCPに沿った衛生管理の導入状況は着実に向上しています。すべて、または一部の工場や工程(ライン)でHACCPを導入している事業所の割合は、前年度比で19.2ポイント増加し、61.9%という高い割合です。また、HACCPの導入途中である工場がある事業所は5.2%であり、今後導入予定の事業所は32.8%とのこと。これは、HACCPが食品製造業においてますます重要視されていることを示しています。この調査結果から、食品業界がHACCPを衛生管理の基準として積極的に受け入れており、製品の安全性と品質向上に向けた取り組みが進んでいることが分かります。HACCPを無視した場合の罰則引用元:photoACHACCPを導入しないまま食品事業を営む場合、食品衛生法には直接的な罰則が規定されていません。しかし、食品衛生法の規定によれば、罰則の適用は都道府県知事の裁量に委ねられています。そのため、自治体は条例によって罰則を定めることができます。一般的に、都道府県の条例ではHACCPを導入しない場合の罰則として「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」という規定があります。事業者がHACCPを無視すると、このような重い制裁を受ける可能性もあるということです。さらに、食品衛生法には他の安全基準や命令に違反した場合の罰則も含まれています。この場合、より厳しい罰則が科されることがあります。その結果、事業者は信頼を失い、消費者の信頼を失う一因となる可能性があります。HACCPの7原則12手順引用元:photoACHACCPの導入においては、7原則12手順という基本的な枠組みが用いられます。まず、準備段階では5つの手順が実行され、その後、残りの7つの手順と7つの原則が同時に実行されます。具体的な手順は以下のとおりです。HACCPチームの編成製品についての記述意図する用途の特定製造工程一覧図の作成製造工程一覧図の現場での確認(原則1):危害要因の分析(原則2):重要管理点の決定(原則3):管理基準の設定(原則4):モニタリング方法の設定(原則5):改善措置の設定(原則6):検証方法の設定(原則7):記録の保持HACCPには「HACCPに基づく衛生管理」と「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」という2つの基準が存在します。前者はHACCPの7原則が完全に適用される一方、後者はより簡略化されたアプローチで衛生管理が行われます。それぞれの基準は、事業者の規模や業種に応じて適用されます。HACCPの基礎になる衛生管理|登録衛生検査所おすすめ2社引用元:photoAC飲食店が適切に衛生管理することは、HACCPの基礎になります。衛生管理のために従業員の健康状態を把握したり、食品や調理環境の衛生状態を検査したりするのに利用したい登録衛生検査所をみていきましょう。1.株式会社有研引用元:臨床検査技師JOB会社名株式会社有研本社所在地〒553-0001大阪府大阪市福島区海老江2-1-31 青山ビル電話番号06-6458-9555設立1927年1月事業内容・衛生検査・食品取扱者の衛生管理公式サイトURLhttp://www.ariken.net/index.php株式会社有研は、臨床検査・衛生検査の分野で長い歴史と実績を誇る業界のパイオニア・カンパニーです。結核治療・予防ワクチン(A-O)の開発実績を持ち、国外30数カ国にも名を知られ、多くの公共機関や大手ホテル、百貨店から支持されています。有研は食品検査をはじめ、拭き取り検査、水質検査、腸内細菌検査など、さまざまな衛生検査を実施。HACCPに基づき、飲食店の現状把握から是正処置までトータルサポートも行っています。有研は長い歴史と実績に基づき、信頼性の高い衛生検査サービスを提供しており、顧客の安心・安全を追求しています。株式会社有研のサービス内容や強みについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。株式会社有研の会社概要、サービス内容、特徴・強み、競合まで徹底解説「衛生管理として活躍している会社に依頼したい」「衛生管理者になりたい」「夏の食中毒などが不安」そんな企業担当者の方や食品衛生管理者を目指している方におすすめなのが、株式会社有研。業界をリードするその専門性と豊富な実績を活かして、全国からの依頼に対応しています。話をきいてみたい、もう少し会社について知りたいという方はぜひHPを覗いてみてください。2.株式会社食環境衛生研究所引用元:株式会社食環境衛生研究所公式HP会社名株式会社食環境衛生研究所本社所在地〒379-2107群馬県前橋市荒口町561-21電話番号027-230-3411設立1998年7月事業内容・食品生産、加工工場の衛生検査・コンサルティング・畜産農場の衛生検査・コンサルティング・動物医薬品臨床試験・一般受託試験など公式サイトURLhttps://www.shokukanken.com/株式会社食環境衛生研究所は、食品の安全性向上に貢献し、人々の健康と好ましい生活環境を実現することを経営理念として掲げています。また、HACCPの基礎となる衛生管理の際に利用できる登録衛生検査所として、総合的な食品検査サービスを提供しています。食品衛生コンサルティングや検便検査、食品表示や安全性確認のための検査など、幅広い検査内容を通じて、安心・安全な食環境を実現するためのサポートを行っている会社です。最後に引用元:photoACHACCPの導入は、食品業界における安全性と信頼性の確保に不可欠です。この衛生管理手法を適切に実践することで、食品の製造から消費までの全工程で品質と安全性を確保できます。当メディアがおすすめする登録衛生検査所は、HACCPに基づいた徹底した衛生管理体制を整え、安全で信頼性の高い食品を提供することに注力しています。登録衛生検査所を利用することで、より安心して製品を提供し、消費者の信頼を築くことができるでしょう。HACCPについて解説してきましたが、対応が難しいと感じる方もいるかもしれません。そんな方におすすめしたいのが、食品衛生コンサルへの依頼です。食品衛生コンサルは、飲食店の衛生管理から従業員の育成まで、食品衛生に関わるさまざまな悩みのサポートをしてくれます。食品衛生コンサルについて詳しく解説している記事もあるので、こちらも併せてご覧ください。衛生管理を手助けする食品衛生コンサルとは?HACCP対応支援から現場の指導までを解説