飲食店などの食品を扱う業種では、感染症の対策を講じることが重要です。特に注意したい病原体の一つにノロウイルスがあります。ノロウイルスの被害を予防するためには、ノロウイルスの検査費用や検査方法について把握しておく必要があるでしょう。本記事では、そんなノロウイルスの検査に関する情報を詳しく解説します。おもなトピックスは次の3つです。ノロウイルスの検査方法と費用検査結果が出るまでの期間飲食店向けのおすすめ検査機関さらに、ノロウイルスの検査を実施する際に役立つ企業3社も紹介。安全な食品提供のために、適切な検査を検討している方はぜひご覧ください。目次ノロウイルスの検査費用引用元:photoACノロウイルスの検査費用は、初診料と合わせて5,000円前後が相場です。また、再診の場合は3,000~4,000円ほどの検査費用がかかります。その他に、リアルタイムRT-PCR法、イムノクロマト法など検査方式によっても多少値段は前後するため、医療機関や検査機関に確認しましょう。もし、飲食店がノロウイルス検査の実施を検討している場合は病院ではなく、「有研」のように複数名の検査を割安で受けられる企業に検査依頼をするのをおすすめします。ノロウイルスの検査方法を紹介引用元:photoACノロウイルスの検査方法は大きく分けて3種類あります。検査方法ごとの特徴について確認していきましょう。遺伝子検査遺伝子検査は、ノロウイルスへの感度が非常に高い検査で、「RT-nested PCR法」、「リアルタイムRT-PCR法」などがあります。RT-nested PCR法では1mlあたり100~1000個、リアルタイムRT-PCR法では1mlあたり100~1万個のノロウイルスが存在すれば陽性となるため、症状が現れていない状態でも、感染を検出することができます。検査の判定にかかる日数は、即日対応〜1週間程度と機関によって大きく異なりますので、依頼先の判定日数もしっかり確認しておきましょう。ノロウイルス抗原検査病院で医師がノロウイルスの検査が必要と診断した場合に用いられるのが、ノロウイルス抗原検査です。患者の糞便の中に含まれるノロウイルスを検出するこの方法は検査にかかる時間が短く、15〜30分で結果が分かります。一方で、診断結果が100%ではないこと、陰性証明にはならないことなどのデメリットがある点も確認しておきましょう。電子顕微鏡による検査電子顕微鏡による検査は、一般的にノロウイルスの集団感染が発生した場合に、行政機関や研究機関によって行われるのが電子顕微鏡による検査です。簡易的な抗原検査とは異なり、陰性証明になるため飲食店が登録衛生検査所に依頼するケースでも電子顕微鏡による検査が行われるケースがあります。抗原検査と比べると、検査結果が出るまでに1〜4日ほどの時間がかかりますが、その分感度が高く正確性に優れているのがメリットです。飲食店にノロウイルスの検査義務はある?引用元:photoAC食品衛生法において、飲食店のノロウイルス検査は義務付けられていません。義務ではないにも関わらず多くの飲食店で、定期的なノロウイルス検査が実施されるのは、食中毒事故発生のリスクを抑えたり、万が一食中毒が発生したときに提示できる記録を残したりするためです。自主的に検査を行う場合、検査頻度は店舗や会社のあるエリアの保健所に確認するのが良いでしょう。従業員がノロウイルスに感染した場合どうする?万が一、飲食店の従業員がノロウイルスに感染した場合は、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」に基づき検査結果で陰性が証明されるまでは、調理や接客の仕事を控えるのが望ましいとされています。また、顧客から店舗での感染を疑う連絡があった場合は、速やかに保健所に連絡をしましょう。その際、自主的にノロウイルスの検査を行っていれば、発生日時や原因の特定など事実確認がスムーズなのがメリットです。飲食店でノロウイルス感染が起きたとき、場合によっては営業停止や賠償請求が発生することもあるため、検査費用がかかっても自主的な検査実施をおすすめします。飲食店のノロウイルス対策引用元:photoAC飲食店運営に大きな損害を及ぼすこともあるノロウイルス。安全な店舗運営を続けるためにできる具体的なノロウイルス対策をみていきましょう。調理器具の消毒ノロウイルスを失活化させる際は、十分に調理器具を洗浄した後に次亜塩素酸ナトリウムに浸す必要があります。まな板や包丁、食器類は85℃以上の熱湯で1分間以上加熱することで、ウイルスを死滅させることが可能です。なお、ノロウイルスを含んでいることが多いといわれる二枚貝を調理する場合は、その都度調理器具を洗浄したり、加熱消毒することが予防につながります。食品の加熱処理ノロウイルスは熱に弱いウイルスなので、調理の際は、中心温度85〜90度以上で90秒間以上加熱するのをおすすめします。特にカキをはじめとする二枚貝はノロウイルスに汚染されやすいため、できるだけ生食は避けて、十分に加熱するようにしましょう。従業員の手洗いを徹底するノロウイルスの感染予防をするときは、食品や調理器具への対策だけでなく、従業員の手洗いも効果的な手段です。手洗いは調理の工程を一つ終えるごとに行い、手のひらから手首までしっかり洗浄すると良いでしょう。手洗い後は温水の流水でしっかり汚れを洗い流し、水気を拭くときは清潔なタオルか、使い捨てのペーパータオルを用いるのをおすすめします。また、手洗い後にアルコール手指消毒剤、塩素系消毒剤を使用することで、より万全にノロウイルス感染を予防可能です。ノロウイルスの潜伏期間と感染経路引用元:photoACノロウイルスは非常に強い感染力を持ち、少量のウイルスでも感染が広がるため、注意が必要です。症状が出る前から感染することもあり、適切な対策を取らなければ、集団感染を引き起こす可能性があります。ここでは、ノロウイルスの潜伏期間と感染経路について詳しく解説します。ノロウイルスの潜伏期間とは?ノロウイルスの潜伏期間は24~48時間とされています。感染後すぐに症状が出るわけではなく、一定の時間を経てから発症するのが特徴です。潜伏期間感染後の症状24~48時間吐き気・嘔吐・下痢・発熱症状が出ない場合でもウイルスを排出していることがあり、周囲へ感染を広げるリスクがあるため、感染拡大を防ぐための対策が重要です。ノロウイルスの感染経路ノロウイルスの主な感染経路は以下の3つに分類されます。① 接触感染ウイルスが付着した物に触れ、その手で口や鼻を触ることで感染します。特に以下のような場所では、接触感染のリスクが高まります。ドアノブや手すり調理器具や食器トイレの便座や水洗レバー感染者が触れた物を介してウイルスが広がるため、こまめな手洗いと消毒が重要です。② 飛沫感染ノロウイルスに感染した人の嘔吐物や排泄物の処理時に、ウイルスが空気中に飛散し、それを吸い込むことで感染するケースです。嘔吐物を適切に処理しないと、ウイルスが空気中に舞い上がる汚染された衣類や寝具の取り扱い時にも注意が必要感染を防ぐためには、嘔吐物や排泄物を処理する際にマスクや手袋を着用し、しっかり消毒することが大切です。③ 食品媒介感染ノロウイルスに汚染された食品を十分に加熱せずに食べることで感染します。特に、以下の食品がリスクとされています。リスクが高い食品対策二枚貝(カキ・アサリ・ハマグリなど)85~90℃で90秒以上の加熱生野菜・果物よく洗い、加熱できるものは加熱井戸水・地下水煮沸消毒や浄水器の使用生ガキなどの二枚貝はノロウイルスの汚染リスクが高く、十分な加熱が必要です。85~90℃で90秒以上の加熱を行うことで、ウイルスを死滅させることができます。ノロウイルスの消毒方法と効果的な洗浄手順引用元:photoACノロウイルスは感染力が非常に強く、アルコール消毒では効果が薄いとされています。感染を防ぐためには、適切な消毒方法を実践し、ウイルスの拡散を防ぐことが重要です。ここでは、ノロウイルスに効果的な消毒方法と具体的な洗浄手順について詳しく解説します。ノロウイルスに効果的な消毒方法とは?ノロウイルスは一般的なアルコール消毒では十分な効果を得られないため、適切な消毒方法を知ることが重要です。ここでは、ノロウイルスに有効とされる消毒方法や推奨される消毒液の種類、濃度の目安について詳しく解説します。アルコールではなく「次亜塩素酸ナトリウム」が有効ノロウイルスは一般的なアルコール消毒では不活性化しにくいため、*次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)*を使用することが推奨されています。次亜塩素酸ナトリウムは、ウイルスの構造を破壊し、感染力を失わせる効果があります。濃度の目安使用目的次亜塩素酸ナトリウム濃度希釈方法(塩素濃度6%の漂白剤を使用)嘔吐物・排泄物の処理200ppm水1Lに対し、漂白剤4mL床・調理台などの消毒1000ppm水1Lに対し、漂白剤20mLノロウイルスの効果的な洗浄手順ノロウイルスの感染を防ぐためには、適切な洗浄と消毒が欠かせません。誤った方法ではウイルスを拡散させる恐れがあるため、正しい手順を理解しておくことが重要です。ここでは、嘔吐物や排泄物の処理、環境の消毒、手洗いの方法について詳しく解説します。感染拡大を防ぐために、各手順を確実に実践しましょう。① 嘔吐物・排泄物の処理感染を広げないためには、適切な処理方法を知っておくことが重要です。◆処理の手順手袋・マスクを着用し、直接触れないようにする嘔吐物や排泄物をペーパータオルで覆い、上から200ppmの次亜塩素酸ナトリウムを浸す10分程度放置し、ウイルスを不活性化させるペーパータオルごと袋に入れ、密封して廃棄する処理した場所を再度消毒し、十分に換気する嘔吐物や排泄物は処理を誤ると空気中にウイルスが拡散するため、丁寧な対応が求められます。② 床や調理台の消毒ノロウイルスは環境中でも長時間生存するため、床や調理台の消毒が感染予防の鍵となります。◆消毒手順1000ppmの次亜塩素酸ナトリウムを作成する消毒液を染み込ませた布で拭き取る(スプレーはウイルスを拡散する恐れがあるため非推奨)10分程度放置した後、水拭きする乾燥させた後、再度手洗いを徹底ドアノブ・蛇口・リモコン・トイレのレバーなどはウイルスが付着しやすいため、重点的に消毒しましょう。③ 手洗いの徹底手洗いはノロウイルス感染を防ぐための最も基本的で重要な対策です。◆正しい手洗いの方法石けんを使い、30秒以上かけてしっかり洗う(指の間、爪の間、手首まで丁寧に)流水で十分に洗い流す可能であれば手洗い後にアルコール消毒を併用する石けんによる手洗いは、ウイルスを洗い流す効果があるため、アルコールよりも優先して行うことが推奨されています。消毒後に注意すべきポイント消毒作業が終わった後も、ウイルスの拡散を防ぐために注意すべき点があります。十分に換気を行う(消毒液の刺激臭を軽減するため)使用した手袋やマスクは密封して廃棄する消毒後の手洗いを徹底する次亜塩素酸ナトリウムを使用した後は、金属が腐食しやすいため、対象物によっては水拭きを忘れずに行いましょう。こちらの記事もよく読まれています!食品衛生管理者:資格と業務の完全ガイド登録衛生検査所のおすすめ3社引用元:photoACノロウイルスは一部のケースを除いて自費診療となるため、飲食店の従業員分を行おうとすると検査費用や手間暇が気になります。そこで、大人数の検査をまとめて依頼でき、病院で診療を受けるより割安なものが多い登録衛生検査所をみていきましょう。株式会社有研引用元:株式会社有研公式HP会社名株式会社有研本社所在地〒553-0001大阪府大阪市福島区海老江2-1-31 青山ビル電話番号06-6458-9555設立1927年1月事業内容衛生検査、食品取扱者の衛生管理公式サイトURLhttp://www.ariken.net/index.php株式会社有研は、食品・水質・環境検査の専門機関として、正確かつ迅速な検査サービスを提供しています。最新の検査機器を導入し、精度の高い検査結果を短期間で提供。さらに、検査結果の解析や衛生管理のアドバイスも行い、企業の安全対策をサポートしています。公的機関との連携も強みで、信頼性の高いデータをもとに、各種認証取得の支援も実施。食品業界を中心に、多くの事業者から評価されています。有研の強み迅速で正確な検査:最新技術を活用し、短期間で高精度な結果を提供幅広い検査対応:食品・水質・環境など、多岐にわたる分野の検査が可能手厚いサポート:検査結果の解説や衛生管理のアドバイスも実施こちらの記事もよく読まれています!有研バイオテックの概要や事業内容を紹介!その他のおすすめ企業情報まで有研の検査をおすすめする理由食品衛生や安全管理において、信頼できる検査機関の選定は非常に重要です。有研は、確かな実績と高精度な検査体制で、多くの企業から選ばれています。ここでは、有研の検査が優れている理由を詳しく紹介します。迅速かつ高精度な検査:最新の検査機器を導入し、正確な結果をスピーディに提供幅広い検査項目に対応:食品・水質・環境検査など、多様なニーズに対応可能信頼できる認証機関:公的機関とも連携し、品質管理の徹底を実現手厚いサポート体制:検査結果の詳細な説明や、改善策のアドバイスも提供食品の安全管理を強化したい方は、ぜひ有研の公式サイトをご覧ください。詳細なサービス内容や検査の流れを確認できます。株式会社関西環境センター引用元:株式会社静環検査センター公式HP会社名株式会社関西環境センター本社所在地〒599-8276大阪府堺市中区小阪204-27電話番号072-281-0521設立1997年4月1日公式サイトURLhttps://www.kansaikankyou.co.jp/株式会社関西環境センターは、水質・食品・産業廃棄物などの環境調査や分析を行う専門機関です。最新の検査設備を導入し、高精度な分析を迅速に提供。水質調査やアスベスト分析、土壌汚染検査など、環境保全に関わる分野で高い信頼を得ています。さらに、企業向けに環境リスク評価やコンサルティングも提供し、法令遵守と環境負荷低減をサポート。確かな技術と経験に基づいた、高品質な検査サービスを提供しています。関西環境センターの強み多分野にわたる環境検査:水質・土壌・食品・産業廃棄物の分析に対応迅速かつ正確なデータ提供:最新機器を活用し、短期間で精度の高い結果を提供環境コンサルティングの実施:企業の環境対策を支援し、法令遵守をサポートこちらの記事もよく読まれています!食品衛生検査・環境測定なら関西環境センター|サービス内容と強み株式会社CRC食品環境衛生研究所引用元:株式会社CRC食品環境衛生研究所公式HP会社名株式会社CRC食品環境衛生研究所本社所在地〒813-0062福岡県福岡市東区松島5丁目7-6対応可能エリア要お問い合わせ設立1983年6月1日公式サイトURLhttps://www.crc-group.co.jp/esc/株式会社CRC食品環境衛生研究所は、食品衛生・環境管理・感染症対策の分野で多岐にわたる検査を行う機関です。食中毒原因菌の検出やアレルゲン検査、食品表示の適正チェックなど、食品業界の品質管理を徹底サポート。水質や空気環境の分析にも対応し、衛生管理の向上に貢献しています。さらに、衛生管理の改善提案や研修の実施を通じて、企業がより安全な環境を構築できるよう支援。正確なデータと実用的なアドバイスを提供することで、多くの企業に選ばれています。CRC食品環境衛生研究所の強み幅広い食品検査に対応:食中毒菌・アレルゲン・残留農薬などの分析を実施環境衛生管理の強化:水質・空気環境の検査を通じて、安全な環境づくりを支援企業向けの衛生管理サポート:研修やアドバイスを提供し、現場の衛生レベル向上を支援こちらの記事もよく読まれています!CRC食品環境衛生研究所の会社概要、サービス内容、特徴・強み、競合まで徹底解説まとめ引用元:photoAC飲食店をはじめとする食品取扱業者がノロウイルス検査を受けるときは、検査費用や検査の質に注目しましょう。本記事で紹介した登録衛生検査所なら、大人数のノロウイルス検査にも対応しているため、検査費用を抑えつつ、正確な結果報告が期待できます。ノロウイルス検査の依頼先を検討している方は、参考にしてみましょう。当メディアでは、次の記事もよく読まれています。ぜひチェックしておいてください!水道管理とは?水質検査が欠かせない業種や水道事業者の種類について詳しく解説